保湿成分として名前をよく聞くようになったこの成分は、ナイジェリア、ガーナをはじめとする中央アフリカなどに広く分布しているシアという植物の種子から抽出した脂肪酸のことです。
その成分の多くは、動物性油脂に見られるステアリン酸と植物性に見られるオレイン酸がほとんどを占めています。
このステアリン酸が含まれているため、常温では、固形の状態で、肌に塗ると溶けることから、植物性油脂でありながら「バター」と表現されるのです。
薬品、石鹸などの他、食用、燃料に加工されることもあります。
シアバターってどんな成分?
シアの種子から抽出した脂肪酸のステアリン酸は、飽和脂肪酸(二重結合がない)といって、分子の結合の距離が短いため、結合が安定しています。
このため、分子どうしがはずれにくいため、沸点が高くなります。それは、固形物であることを意味します。沸点では、分子結合がくずれるイメージをしてみるとわかりやすいかも。
一方、同じ抽出物のオレイン酸は、不飽和脂肪酸といって、分子間に二重結合となっているところがあります。
二重結合は一重にほどけやすいので(両手でつないでいた手を片手にするイメージ)、分子構造が不安定とされています。つまり分子が離れやすいということ。これは、沸点が低いということです。
脂肪酸の働きについて
シアバターは、この固形となるステアリン酸と、液体の状態でいるオレイン酸が同じように配合されているので、両方の性質がうまく働きます。
具体的には、常温でこっくりとしているのに、肌につけるとなめらか、その上、しっとりと保湿できて乾燥を防いでくれるのはこの性質からです。
また、油脂の皮膜ができるため、肌につけた場合に、膜より外の刺激から守ることもできるそうです。そのため、植生地であるアフリカのエリアでは、強い日差しから肌を守るために塗布しているとのこと。
さらに薬用として、傷をふさぐとして塗布剤や、炎症のある個所の治療目的で用いられることも多いそうです。
このような古くからの使われ方に着目して、化粧品系に転用したのが、ロクシタンなどの自然派化粧品メーカーだと言われています。
そこから注目素材として広がり、乾燥を防ぎ、しっとり感を長持ちさせる化粧品に使用されているようです。